持続可能な開発目標(SDGs)貢献に向けた取り組みについて
(序文)
スキー場事業は「雪」と「山」という大自然の恵みを最大限に活用し、お客様にその素晴らしさを味わっていただくことによって成立しております。
しかしながら近年の地球規模での気候変動による影響で、世界の中でも最も豊富に雪が降るエリアの一つである白馬エリアにおいても小雪による影響が出始めています。実際、直近の4シーズンのうち3シーズンでは、クリスマスの時期になっても山麓エリアの一部コースがオープンできない、過去を見ても稀に見る雪が少ないシーズンを過ごすことになってしまっております。
また、こうした中で、お客様に十分な滑走環境を提供するために降雪機投資を続けたことなどから、さらに電気使用量が増加してしまっており、自然環境の恵みを享受した事業を営む当社としては年々環境への負荷が強くなってきてしまっていることに、忸怩たる思いをしております。
こうした状況を鑑み、当社では国際社会の一員として今後の事業運営において、「持続可能な開発目標」(SDGs)に賛同し、スキー場運営活動を通して、より良い自然環境を作り出すことに貢献いたします。当社が属する日本スキー場開発株式会社グループでは、そのビジネスの遂行を通じて自然、お客様、地域社会の”Happy”を創出する、”Happy Triangle”を経営理念としておりますが、当社としてはこの「自然をHappyにすること」について、
●お客様に大自然の素晴らしさを伝えていくことで環境問題への意識啓発を進める
●環境への負荷の低い事業運営への転換を進める
●間伐の実施などによる「より良い自然環境」を作り出すことに積極的に貢献する
ことと捉え、今後、事業を推進してまいります。
(コミットメント)
毎年の売上の1%以上相当をSDGs関連投資・費用に充当することで、今後5年間で当社が排出するCO2を6%削減してまいります。
(具体的な取り組み)
これまで、当社内で有志8名による"SDGs推進委員会"を立ち上げ、具体的な施策の検討を進めてまいりました。この検討結果を踏まえ、直近、以下の取り組みを実行していくことで、より良い自然環境に貢献していくことを目指します。
●省エネや低環境負荷に資する投資・修繕を行い、省エネルギー型施設・オペレーションへの転換を積極的に進める。直近の取り組みとして、
・降圧雪の効率的な運用に資するシステムを試験的に導入し、降雪に関する電気使用量の15%削減、圧雪車運行に係る燃料の8%削減を目指す
・レストハウスやゴンドラ施設における3年以内に全照明をLED化することにより、照明に関する電気使用量については30%(全社の電気使用量の3.5%相当)削減を図る
・リフトやゴンドラの監視小屋やレストハウスなどの建物断熱効率向上に向けた修繕を実施し、施設当たりの燃料使用量を40%削減
・レストハウスから排出される生ゴミやプラスティックゴミの削減に向け、メニューの見直しや生分解性素材を使った食器・ストロー類への切り替え、スキー場内外での食品残さの有効利用等を進める
・一台に3名以上で乗車してスキー場に来場する方(カープール)優先の駐車場をリフトやゴンドラ近くに設けるとともに、EV専用駐車場を徐々に整備し、お客様が来場される際の環境負荷低減に貢献
・社員の通勤に係るCO2排出を削減するとともに、社内での環境問題への意識啓蒙を進めるため、"Eco-Commute Challenge"を実施
●利用している電力について、再生可能エネルギー由来もしくはグリーン電力証書がついたものへの転換を進める
●国立公園「栂池自然園」における自然環境教育プログラム"MIKKETA!"のローンチや岩岳山頂"Iwatake Green Park"の整備等を通じ、お客様が「白馬の雄大な自然」に身近に触れ、学ぶことのできる施設・サービスを年々充実していく
●長年にわたり世界のスノーシーンをリードしてきたプロスノーボーダー ジェレミー・ジョーンズ が、「気候危機から冬を守らなければ」という思いから創設したムーブメントであるProtect Our Winters Japan (POW Japan)の活動への支援を実施する
また、中期的には以下の実施に向けた検討を継続して進めてまいります。
●輸送する区間が重複するリフトの統廃合を進め、運行に必要なエネルギーの効率化を進める
●地権者と協力しながらゲレンデ内森林やゴンドラリフト線下での間伐を進め、よりCO2吸収量の多い、健全な森を育てるとともに、可能な個所については非圧雪エリアとしてお客様にお楽しみいただく
●間伐材の有効活用先としてのバイオマス発電について、地域社会と協力しながらその建設・運営に向けた検討を進める
貴重な自然環境を次世代に引き継ぎ、お客様に長くスノースポーツをお楽しみいただくため、ご理解とご協力の程お願いいたします。
2019年11月
白馬観光開発株式会社
代表取締役社長 和田 寛